帝王切開の話⑤お祝い膳を前にして担架で運ばれた話
先日、診察と一緒に26〜28週妊婦向けの助産師外来というのがありました。
助産師さんが、お産や入院にあたっての説明をしてくれたり、マイナートラブルの相談に乗ってくれるというもの。
二人目妊娠で、病院も帝王切開というのも一人目と同じということもあり、さらっとおさらいという感じだったのですが、入院日程を見ていて、ふと思い出しました。
私が通う病院では、初回の帝王切開(横切開)だと通常5日間の入院なんですが、私、横切開の初回なのに7日間だったなと…
そして入院4日目、退院前のお祝い膳を目の前にしながらいきなり担架で運ばれたことを…
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それは入院4日目のことでした。
その日の朝、術後から自分の一部かのように常に一緒だった点滴とついにお別れし、傷の痛みも少しずつ和らぎつつあり(とはいえ腹筋を使うとうめくほど痛い状態でしたが!)、翌日に抜鉤*1を控え、いよいよ退院が見えてきた!と言う夜。
その日の夕食はお祝い膳で、開放感はピークに達していました。
病院が大学病院ということもあり、正直食事はイマイチだったのですが、さすがお祝い膳となるとけっこう豪華!
わー!フォークとナイフつきだー!!温かいうちにいただきま
とフォークとナイフを手に食べ始めようとしたまさにその時。
手術時に助手だった女医の先生が厳しい顔で病室に飛び込んできました。
「うどんさんすみません、大至急でお話いいですか?」
「えっ…なんでしょうか…」
フォークとナイフを手にしたまま嫌な予感に冷や汗をかく私。
「今日の血液検査で、血の固まりやすさを示す値がかなり高くなってるんです。万が一血が固まって血栓ができていた場合、その血栓が肺や脳に詰まってしまうと、命に関わることになります。すみませんが今すぐ血栓がないかどうか検査させてください」
えええええええええ
だっていまお祝い膳が、湯気を立てたお祝い膳が…
…なんていうことを言えるわけもなく、あっという間に担架に乗せられました*2。
お祝い膳……久々のごちそう……!!!
心の叫びも虚しく、あっという間にお祝い膳は私の目の前から消えてゆきました。
…担架で運ばれている間に、だんだん不安になってきました。
そういえば、術前に、術後にエコノミークラス症候群が発生するリスクがあるということは聞かされていたのです。術後は麻酔で下半身を動かせないため、どうしても血栓ができやすくなるということ。それを防ぐためにメディキュットのような着圧ソックスを履かされていました。
リスクの話なんて、正直自分の身に降りかかってみるまでは他人事です。
でも、急にそれがリアリティをもって襲いかかってきました。
「え、もしかしたら私、エコノミークラス症候群で死ぬかもしれないんだ?」
「生後3日の娘を残して?*3」
「娘、まだ哺乳瓶でうまくミルクも飲めないのに?」
急に目の前に差し迫ってきた死。
強く思ったのは、残される娘への心配でした。
自分が死ぬことへの実感がなかったのかもしれないのですが、残される娘、どうしよう、ということで頭がいっぱいになりました。
さすがにもうお祝い膳どころじゃありません。
娘のために、どうかエコノミークラス症候群ではありませんように…
両足をエコーでくまなく検査されている間、ただただそればかりを祈り続けました。
結果…
幸い、血栓は見つかりませんでした。
ただ、血が固まりやすい状態というのは変わらないため、血をサラサラにする薬を点滴で入れることになり、わずか1日で点滴生活に逆もどり。様子見のために入院期間も延びることになりました。
点滴を刺され担架に乗せられテンションダダ下がりの私を病室で待っていたのは…
冷たくなったお祝い膳…
あ、あれ、なんか目から汗が…
さっきまで娘を残して死ねない!なんて言ってたくせに現金なもんです。というか小さいです!!ほんとちっさいなわたし!!
いやいや、いいんだ、命に別状がなかったからいいんだ…!!!
とにもかくにも、なんとも恨めしく悲しい気持ちで冷めたごちそうを食べるのでした…
(写真撮ってるくらいなら一口でも温かいうちにたべとけばよかった!)
というわけで、今回は、温かいうちにお祝い膳を食べるのが密かな楽しみです…!!
★帝王切開の話
①逆子で帝王切開になった経緯
②手術前日に入院した時の様子。
③まさかの破水で真夜中に緊急帝王切開になりました…
④痛いんです!