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単角子宮で二児の母

単角子宮で一児の母のアラフォー会社員、単角子宮による切迫早産を乗り越え、無事二児の母となりました。単角子宮での妊娠・切迫流産や切迫早産・帝王切開の経験、育児と仕事の話、読んだ本などいろいろ書いていきます。

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ゆるさのススメでも説教でもない不思議なキャリア相談と仕事論:「好きなようにしてください」

「好きなようにしてください」。経営学者楠木建さんによる、NewsPicksでのキャリア相談連載をまとめた本。

 

以前からNewsPicksでこの連載を読んでいて、「好きなようにしてください」との決め台詞とともに、仕事に関する持論を展開しながら、相談者を好きなようにバッサバッサぶった斬っていくのが面白いな〜と思っていました。

このタイトル「好きなようにしてください」にやられたこと、また書籍には楠木さんの経営や仕事に関するコラムが追加されているとのことで、手にとってみました。

 

 

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買うときに、「けっこう高いな…」と思っていたのですが、読み始めて納得。

50回の連載が全て掲載されており、さらに追加収録されている4編のコラムもそこそこボリュームがあり、かなり読み応えがあるのです。
(ご自身が語る「仕事の原則10か条」というのもあり、これがけっこう考えさせられます。自分の仕事のスタンスを改めて見直さないとなと思わされました)

 

一見ゆるそうな、でもシビアな仕事論

「好きなようにしてください」というタイトルに始まり(この文句はほぼすべての相談への回答に出てくる決め台詞です)、「時の流れに身をまかせ」とか「川の流れのように」などという言葉が続き、見、優しいというかなんかゆるく聞こえますが、よくよく読んでみると、実際はすごく当たり前の、そしてシビアなことがズバズバ書かれています。

オヤジギャグで油断させながら、峰打ちでビシビシと斬り倒していく感じです。

 

ただし 、川の流れに身をまかせるにしても 、いい流れ方と悪い流れ方がある。 

 

この先 、長く続くキャリアのよりどころは 、自分の中にある 「好き嫌い 」とそれを反映した 「向き不向き 」にしかありません 。

 

「川の流れのように 」というのは 、何も手を抜くとか人まかせにするとかいうことではありません 。むしろ主体性が大いに問われる 。川の流れの中で 、その時に自分が思い定めた自分の持ち場で真剣に力を尽くす 。これが仕事をするということであり 、世界経営に参画するということです 。

 

ステータスとやりがいとの天秤に悩むという話だったり、目標がないことに対する不安だったり、女性ならではの悩みだったり(後述します)。

こうした質問に「好きなようにしてください」と言いながら、下記のようなことを伝えていきます。

  • さまざまな選択肢から選び、行動するのは自分自身でしかない
  • 仕事を評価するのは自分ではなく、お客様。自分を向いてする仕事は仕事ではなく「趣味」。
  • 目標がないことに卑屈になる必要はない。
  • 仕事では思い通りにいかないことの方が多いし、「好き」をもとにたんたんと積み重ねていくしかない。積み重ねが自身の価値になっていく
  • 好きだから続けられて人から見たらたくさんの努力をした(本人は努力とは思ってない、ただ続けただけ)結果ようやく仕事をする人としてものになる。
  • とにかくやってみないと本当に好きかどうかとか向き不向きはわからない
  • 実際に働いてみないと実感して納得できない、努力し続けるかやり方や道を変えるのかの判断すらできない
  • 向いていない(努力が苦痛である)ならば、他のやりたいことにシフトしていって、とにかくやっていくしかない。

なるほど〜〜〜と思います。

20代の頃だったら、「なるほど〜〜〜」とは思えなかったかもしれません。

私自身、ある程度仕事を続けてきて、育休を経たのちジョブチェンジをしたりした経緯があったから、これらのメッセージを実感を持って受け止められるような気もします。

(と同時に、正直これらのメッセージだけ取り出すと、けっこう説教臭いなと思います)

 

NewsPicksでは、楠木さんが実務家ではなく「学者」ということもあり、この連載は叩かれることも多かったそうなのですが、何となく分かる気もします…(研究者だからというより、購読者層が比較的若いイメージのため)

 

オッサンアピールと軽妙な語り口

上で書いたとおり、中身だけ見るとけっこう説教臭いんですが、その辺りをうまく中和というかかわしているのが、楠木さんのキャラ(と言うか語り口)にあるような気がします。

ところどころに昭和感をちょいちょい挟んできて、それがたまりませんw
K-1を使った例えに始まり、果てはハナ肇だの辺見マリだの奥村チヨだの島倉千代子だの

古すぎるwww

20代には通じない、たぶん30代も前半だとつらいかも…くらいの感じww

さらに、オッサン面白いこと言っちゃうぞ言っちゃったぞドヤ!的な語り口もたまらない(ご本人にはそういう意図はないのかもしれませんが…)

私は面白いと思うし好きです。

嫌いな人もいるとは思うのですが…(ますますオッサンぽくて嫌がられるのかしら…)

この辺りの愛嬌が説教くささを中和してるのかもしれないな〜と思います。*1

 

女性からのキャリア相談に対して

意外と女性からの質問も多く、そこにもビシビシ答えていきます。

キャリアと、女性として家庭や世間で求められる役割の間、に関する悩みが多いように思いました(すごくわかる)。

育休明けに降格させられたとか(ひどい、けどあるあるなんだろうなあ)、

仕事一筋で来て結婚や出産を勧めてくる周囲にモヤモヤするとか、

産後の復帰に激務の夫が反対してるとか…

 

そこに、楠木さんは、奥様の産後はご自身が主夫的に家事を引き受けたこともある経験を紹介しつつ*2、男女は関係ない。女だからどうこうということは気にしなくてよい、自分がやりたいようにやっていけばよい、ということを答えていきます。

社会的に、また制度として難しい面もあるが、そこの改善を願いながらも、個人としてはやっていくしかない、ということも含ませながら。

こちらは、先ほど例に挙げた、産後の復帰に激務の夫が反対するがどうしたらいいのか、という質問について。

好きなようにしてください 。すなわち 、結論ははっきりしています。家庭に専念する義理はありません 。あなたはいまの仕事にやりがいを感じていますし 、女性は経済的に自立すべしという考え方を持っている 。自分の信念に忠実に仕事を続けるべきです 。 「夫に協力を仰いだりしながら 」とありますが 、家事 ・育児というものは 、別に妻から夫へ 「お願い 」してやってもらうようなものではありません 。明らかに夫の義務です 。自分の妻がそういう生き方をする女性であるのに 、それをサポ ートできないのであれば 、この夫君は夫たる資格がないといってもよい 。そうであれば早々に離婚したほうがいいと思いますが

 

もちろん託児所や労働条件の改善など 、女性が働きやすい社会にするために必要なことはたくさんありますし 、制度整備が遅れているのが現状だというのはわかります 。しかし 、だからといって嘆いていてもはじまりません 。

 

しかし 、だからといってあなたのケ ースを世の女性全般に一般化できるわけではありません 。 「そんなに大変な思いをしてまで仕事を続けるよりは 、もっと子どもとの時間を過ごしたい 」とか 、 「育児を一生懸命やりたい 」と思う人も当然のことながらいるわけです 。そういう人は仕事を辞めればいい。

つ、突き刺さる…

まあでもこれはこれでやはり現実的な回答ではありますね…。

 

「誰に頼まれたんですか?」

学者として、実践のベースとなる理論をやるということをコラムで書かれているのですが、論理的であるということはすなわちニュートラルでいるってことなんだなということを思いました。
理論をやるのにニュートラルであることが武器になってるというか。

 

好きなようにやるということは 、自由意志でやる 、自分の意志で自分の人生を歩んでいくということです 。一番いけないのは 「 ○ ○せざるをえない 」と勝手に思い込むことです 。僕はそういう人がいたら 、 「誰に頼まれたんですか ? 」と突っ込みを入れるようにしています 。これ 、皆さんにもおすすめします 。 

ここ、ホントその通り!!と思って笑っちゃったんですが…

正直、なかなかこういう風には実際には言えないのが現実です。

好き嫌い向き不向きが大事といえども、そういうこととは関係ないところで働き稼ぐしかない人の方が絶対的に多いと思います。特にサラリーマンは、組織の中でその時必要な役割を課せられる事が多いので。

でも、自分の意志で進んでいくということは意識していかないと、いけないんだよなと思います。

それがかなわない現実が辛い時もありますが…!

 

これまでの自分を振り返るとともに、頑張ろう、と思わされた一冊でした。

時々読み返そうと思います。きっと復帰した後、また読みたくなるはず…

 

本書に関する楠木さんへのインタビューはこちら。あわせて読むと、より理解が深まるように思います。

www.dhbr.net

 

*1:あ、でもなんかこの辺も嫌がられる原因のような気もしてきたな…w

*2:こういうことを書くあたりもまたうまいな〜と思います